王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
昨夜のうちに、私たち親子の間での話はまとまっている。
今日は特に言うべきことはなかった。
「お父様、お母様、それでは行ってまいります」
お父様はしっかりと頷いてくれたけれど、お母様の双眸が潤んだ。
お父様はそんなお母様の肩を抱いた。
それからもう片方の腕で私をしっかりと抱きしめてくれた。
「大丈夫。たとえ爵位を剥奪され、領地を没収されようとも、私たちはどこでだってやっていける。そうだろう?」
お母さんは目尻を拭いながら『ええ、ええ』と同意した。
「だけど、クロエの気持ちを思ったら……」
今度は私が口を開く番だった。
「お母様、私言ったはず。私はすでにセルジュ殿下から十分すぎるほどのしあわせをもらったの。この思い出は私にとって、一生の宝物になる」
「ごめんなさい!」
お母様は、『わーっ』と泣き出してしまった。
「それを言うなら私だって、何もしてやれなかった……」
(お父様まで……)