不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 今のエムリーは、幸か不幸か善良だった。
 そんな彼女にはいつも通りの対応なんてできないし、正直私は困っている。

「ふふ、頼りになるお姉さんがいて良かったですね」
「はい。お姉様がいてくれて、良かったと本当に思います。何も思い出せないのが、とてももどかしいのですけれど」

 エムリーの少し申し訳なさそうな顔に、私は思わずそんなことを言ってきた。それに私は、苦笑いを浮かべるしかない。
 正直な所、彼女に記憶を思い出して欲しいのかどうかは、自分でもよくわからなかった。私としては今の彼女の方が絶対にいいと思うのだが、思い出さなくてもいいと言い切れないのだ。
 まあとにかく、起きてしまったことは仕方ない。とりあえず私は、エムリーを実家まできちんと連れて帰ることにしよう。
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