不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 しかしながら、ナルネア嬢がそうだと決めたら、私は逆らえない。侯爵令嬢に対して、子爵令嬢である私は頷くことしかできないのだ。

 とにかくこの場を切り抜けなければならない。私はそれについて考えていた。
 しかしそこで、私は気付いた。校舎の方から、一人の男性がこちらに近づいているということに。

「どこを見ているんですか?」
「ナルネア様の言葉に、応えなさい」

 遠くを見つめていることに気付いたのか、ナルネア嬢の取り巻き達が怒り始めていた。
 しかし、そんな取り巻き達とは違い、ナルネア嬢は私の視線を追っている。彼女だけは、冷静だったということだろう。

「……あなた!」
「え? あっ……」
「あなたの方こそ、どこを見ていたのですか?」

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