お願いだから、好きって言って。
 

 パキ、パキ、と枝を踏む音が静かな山の中に鳴り響く。

 急がなきゃ。
 

 相良さん、ずっと体調悪くて我慢してたのかもしれない……

 せめて、なにか私に出来ることは、水分補給をさせてあげて、足を冷やしてあげることだけ……



「あった……!」




 やっとの思いで、500mlの水のボタンを押したその瞬間……





 ――ザァァ……




 突然、スコールのような雨が降り始める。



 気付いたら辺りには霧がかかっていて、どの方角から来たのか分からなくなっていた。


 私、バカだ。
 5月は天気が不安定なことなんて、少し考えれば分かったはずなのに……





 スマホも当然圏外になっていて、連絡を取ることもできそうにない。



 唯一の救いが、帰りもこの道をみんなが通ること。
 リュックも置いたまま飛び出してきたから、どちらにせよ取りに戻らないといけないけど……



 いや、私なんかより、相良さん……大丈夫かな……


 熱があるのに、雨に打たれたりしたら……さらに悪化するかもしれない。



 本当に……私、何してるんだろう。


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