ホテル御曹司は虐げられ令嬢に生涯の愛を誓う
「沙凪、着いたよ」
翔くんの運転する車の座席の座り心地がよくて、外の景色を見ていたのにいつの間にか気持ちよく寝てしまっていた。
「着いたって、どこに?」
「俺たちの家だけど」
そうだった。起こされた私は車から降りてそのまま翔くんと歩いていく。私は足を止めて車の方を振り返る。
「翔くん、私の荷物は持って行かなくていいの?」
「荷物は運んでおいたから大丈夫」
「ありがとう」
私を起こさずに翔くんは私の荷物を全て運んでくれていたらしい。
まだ少し寝起き状態だったけれどエレベーターの階数ボタンの多さに一気に目が覚めた。
(エレベーターのボタンが二十五階まである)
エレベーターが止まった階は二十五階。しかもこの階に玄関は一つしかない。
家の玄関を開けて中へと入って私も翔くんの後をついていく。
リビングに通されて扉が開いている部屋の中には私の段ボールが置いてあった。
「家にあるものは好きに使っていいから」
私の部屋の隣が翔くんの部屋でその隣が書斎室。翔くんはソファーのアームのところに腰をおろして、私はリビングの窓一面に見える雲ひとつない青空に目を奪われた。