エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 美月の言葉をさえぎって、晴馬が聞く。怪訝そうな表情だ。

「どういうこと?」

(そういえば、これも話していなかったな)

 彼に促されて、美月は伊沢夫妻に会ったときの話をする。

「晴馬には忘れられない女性がいるらしい……優紀さんはただの噂だと言ってたけど、私はもしかしたら本当なのかもと考えちゃって。晴馬の独身主義とも辻褄が合うし」

 結局、理由は全然別のところにあったわけだけど……。

「そんな女性がいるなら晴馬に振り向いてもらうのは難しいかなとウジウジしちゃって。それで晴馬にも嫌な態度をとったよね。本当にごめん」

 シュンとする美月を背中から優しく抱き締めて、晴馬はクスクスと笑う。

「その忘れられない女性、美月のことだよ」
「えっ?」

 顔だけで振り向いて、晴馬を見つめる。

「優紀さんと同じ署にいたとき、男の先輩に合コンに誘われてさ。気乗りしないから断ったんだけど……女嫌いなのか?って問い詰められて」

 すごく好きだった女性がいるから女嫌いではないと晴馬は答えたらしい。それがいつの間にか、別れた恋人を忘れられないという噂に変化していったのだそうだ。

 晴馬は苦笑交じりに言う。

「北原の男は一途だって、じいさんが言ってただろ。あれ、結構当たってる。俺は結局、初恋を終わらせられなくて、どこかでずっと美月を引きずってたんだ」
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