アンニュイな偽カレに、愛され注意報⚠︎ (短)
「さっきの?」

「アンニュイ」

「あ〜……」



そうです、とは言いずらい。
だけど、そう言わざるを得ない。
他に誤魔化しようがないし……。

意を決してコクンと頷く。すると時瀬くんは「アンニュイねぇ」と、変わらず降り続ける雨を見た。

そしてグッと眉間にシワを寄せる。
少し険しくなった表情で、彼が言うことは――



「俺、その言葉キライなんだよね。昨日、彼女から〝俺はアンニュイすぎて何を考えてるかよく分からない〟って振られたばかりだし」

「(じ、)」



地雷だったー!何気なしに思ったことだったのに、まさかの地雷ワードだったなんて!



「ご、ごめん。気にしないで!
それに私は、悪い意味で言ったわけじゃないし」

「じゃあ、どういう意味で言ったの?」

「み、見たままを……。大丈夫、時瀬くんのアンニュイは、皆が惹かれる良い意味のアンニュイだから!」

「……」

「(さ、さすがに苦しいかな……!?)」



アンニュイ過ぎるという理由で振られたのに「いい意味だから安心して」って言うのは、いくらなんでも無理があるよね。
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