男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
「……というか、この関係ってどういう関係なんだろ」

 ぽつりと疑問が口から零れた。

 私たちは付き合っているわけではない。上司と部下だ。ただ、そこに身体の関係があるというだけ。

 ……最後の一つが爆弾みたいなものだけれど、イマドキ一夜限りの関係とか、セフレとか。そういうのはまぁまぁあると思う。

 別に、付き合っているから身体の関係があるという前提がある必要はない。……もちろん、あったほうがいいのはわかるけれど。

「丞さんは、私のことどう思っているんだろう。秘書ってだけだと……少し、悲しいかも」

 身体の関係があるんだから、秘書というか、仕事仲間以上の感情を抱いていてほしい。

 というのは、私の勝手な願望だ。丞さんモテそうだし、未経験の私とは違うだろう。

 考えれば考えるほど頭の中が混乱して、ガーっと髪の毛を掻きむしりたくなる。が、今、ここでそんなことをすれば不審者は間違いない。それがわかるから、私はぐっとこらえた。

 スマホをタップして、時計を見る。……まだ、通話を切ってから五分も経っていない。
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