男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
「……本当、他を当たってください」

 が、今はこのナンパ男たちをなんとかしなければならない。

 そう思って、私はもう一度素っ気なくそう言う。……なのに、彼らは引いてくれない。

 ……こんな女の、なにがいいんだろうか。

(丞さんは、私のことをどう思っているの?)

 頭の中に浮かんだことに、自然と唇をかみしめる。

 男たちが、私に声をかけている。でも、もうなにを言っているのかわからない。耳にも、入れたくなかった。

「――だから、さぁ」

 その手が、私のほうに伸びてくる。

 咄嗟に身を縮めようとしたとき。別のほうから伸びて来た手に肩を掴まれた。そのまま、自身のほうに引き寄せられてしまう。

「悪いが、彼女は俺の連れなんで」

 頭の上から降ってくるその声に、私はきょとんとする。

 視線を上げれば、そこには少し焦ったような丞さん。……どうして、そんな表情をするのか。

 ……わからない。

「杏珠さん、行きますよ」
「え、あ、はい……」

 丞さんが、私の肩を抱いたまま、移動していく。私はぽかんとしつつも、彼に連れられて歩いた。

 そっと振り返れば、先ほどの男たちがこちらを見ている。ぽかんとしている姿は、私と一緒かもしれない。なんて。
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