弟は離れることを、ゆるさない
葵がまた私を遠ざけるようになって、今まで誤魔化していた感情がもう誤魔化せないようになっていた。
「琴音からしてみれば俺はまだ、弟の延長線上なんだろうけど、それでもいいから。だから無理だって決めつけて、蓋だけはしないでほしい」
「俺頑張るから」と私の手を強く握る葵。私の気持ちがまだ今一つ伝わっていないような気がする。けれど、まだ、今は全部を伝えられない。伝える方法が分からないのは多分葵が一番よく分かっている。
今は葵の気持ちに答えることしかできない。
葵にまだ、何かを返してあげることはできないけれど、少しずつ自分の気持ちを伝えていきたい。
「我儘なこと言ってるって分かってるんだけど……できたら今朝のような、他の女の子に性的なことをするのはやめてほしい……」
葵は私がイヤなことはしないと言ってくれているのに、さっそく縛り付けてしまっている。自分の中に隠れていた独占欲が抑えきれない。
「俺が女子にあれこれしてたのは、本心からそうしたかったわけじゃない。琴音を忘れたかったからだよ」
「……うん」
「それに俺、琴音以外には反応できなくなってるし」
「……え、反応?」
そういえば、私に手を出そうとした葵の友人が、葵は最後まではできないと言っていたのを思い出した。