弟は離れることを、ゆるさない


 いくら葵が私を好きだと言ってくれていても、他の人が無理なのに私でそういう気分にさせてあげられる自信がない。

 胸が特別大きいわけでもない。肌が特別綺麗なわけでもない。特別スタイルがいいわけでもないし、痩せているわけでもなく、いたって普通だ。だから、私なら大丈夫だとは思わないでほしい。

 そうならなかったとき、葵に幻滅されるのが怖かった。

「わ……私、葵をそういう気分にさせれる自信ない……」

 本音が混じった弱音を言葉にする。


「琴音といるとき、俺はいつもそういう気分だよ」

 葵は恥ずかしがることなく自分の気持ちを言葉にしてくる。
 恥ずかしさで頭がどうにかなってしまいそうだ。


 葵と付き合うということは、葵は私にとって初めてのカレシになる。もちろん、付き合い方なんて分からないし、付き合ってから何をすればいいのかも分からない。

 その晩、スマホを片手に布団の中で『付き合ったらすること』を調べてみた。


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