降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。
そんな俺の邪な気持ちが梓に伝わったのか?と思うほど、あっさり俺から離れる梓。

それが名残惜しくて、『ずっと俺の腕の中にいろ』……そう言えたら何か変わるのか?なんて、クソほど柄でもねえこと考えてる自分に吐き気がするわ。

で、何を思ったのか、俺がやったチョコレートを次から次へと俺の口へ突っ込んできた梓。


「梓、おまっ……」

「ください」

「んあ?」

「そのチョコレート、私にもください」


そう言うと、俺に両手を伸ばしてきた。

すると、俺の首の後ろへ腕を回してグイッと引っ張られる。


──── そして、重なる唇。


梓からキスなんてされたことねーし、俺の唇を割って舌入れてこようとするしで、内心焦りまくってるのは言うまでもねえだろ。


「おいっ、梓っ……!?」


俺が口を開いた途端、ここぞとばかりに攻めてきた梓に、俺の理性がグラグラ揺れてブッ飛びそうになる。

そんなのお構い無しに絡めて、求めてくる梓にもう我慢できそうにねえ。


──── あーーもういい。知らねえぞ……どうなっても。


「んっ……き、りゅうさんっ……もうっ、むりっ!」

「あ?足んねーよ」



──── 梓が立てなくなるほどのキスをしてやったのは、言うまでもねえだろ?


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