降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。
インターフォンを鳴らして少しすると、ガチャッと玄関ドアが開いて出てきたのは……おいおい、勘弁してくれよ……。


「すみません!お待たせしました!お風呂入ってて……ははっ」


キャミソール1枚に短ぇ短パン。

せめてなんか羽織れよ。

無防備すぎんだろ、どんだけ危機感ねえんだ?

つーか、他の男にそんな姿ぜってぇ見せんじゃねえぞ。

見た野郎はもれなく殺す。理不尽だろうが何だろうが関係ねえ……梓は、俺だけのモンだ。


「……桐生さん?」


上目遣いで俺を見上げてくる梓。

俺を悩殺する気かよ。死ぬぞ、リアルに。

ったく。今時の若ぇのはこれが普通なのか?可愛すぎんだろ、やめろ。そんな瞳で俺を見んな。


「旨かった」


タッパーとチョコレートを渡すと、ジーッと俺を見てくる梓。


「風邪引くぞ」

「……なら、桐生さんがあたためて」


──── ギュッと俺に抱きついてきた梓。


俺の気も知らねえで、本っ当に厄介でしかない。

まあ、でも……愛おしくてたまんねえわ。


「体冷えてんじゃねーか」

「桐生さんはあったかいですね」



・・・・このままお前をメチャクチャに抱いてしまいたい。

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