本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第8章 15 病院検索
「ねえ、亮平。始めるって何を始めるの?」
すると亮平はテレビ台の棚に置かれたノートパソコンを指さす。
「検索だ」
「え?検索?」
「ああ、今日は俺と一緒に忍を連れていく病院を2人で探そう。あまり遠くの病院はお互いに仕事を抱えているから難しいだろう?どこか近場の大学病院か、精神科のクリニックを探すんだよ。スマホで見るよりPCで検索した方が見やすいだろう?2人の休みが一緒なのは今日までなんだし」
「あ~成程ね。うん。分かった」
早速私は棚の上のノートパソコンを取り出すと、コンセントを差し込み電源を入れた。そしてPCが起動すると、亮平はコーヒーを持って私の隣に座った。
「俺にも見せろよ」
「う、うん。分かってるよ」
そして私と亮平は2人で一緒に検索を始めた。
「う~ん。ここは駅から大分離れているな…」
亮平は必死で画面を食い入るように見ている。その瞳は真剣だ。一方、落ち着かないのは私の方。お互い肩を寄せ合ってPCを見ているので、亮平の息遣いを間近で感じて、自然に胸がドキドキと高鳴ってきた。
だけど…。こんな風に意識しているのはきっと私だけなんだろうな。所詮亮平に取って私はただの幼馴染で恋人の妹。ただそれだけの関係。ぼんやりとそんな事を考えていると、亮平に声をかけられた。
「おい、鈴音」
「な、何っ?!」
亮平の顔を見ると不服そうにこちらを見ていた。
「鈴音。お前…やる気あるのか?」
「え?」
「さっきから真剣に見ているのは俺だけじゃ無いか?お前忍を何とか元通りに治してやろうって気はあるのかよ?」
「う、うん。勿論治したいって思っているに決まっているでしょう?」
「そうか。なら真剣に探せよ」
「はい」
亮平に注意された私は今度こそ真剣にお姉ちゃんの病院探しを始めた――
検索を始めて1時間程経過した頃、ようやく1件の病院を見つけた。そこは精神科の科目が多く、中には遠方から訪れる患者も多いと書いてある。
「ほら、見て見ろ鈴音。特にこの医者、まだ30歳と若いけど、精神科の名医みたいだぞ?」
亮平はスマホで別に名医と呼ばれている男性医師のプロフィール画面を眺めながら言う。
「なぁ、鈴音。この病院にしようぜ」
「え?でもここ大学病院だし、紹介状も無しでいきなりなんて…」
「別に紹介状なくたって、金を払えば診察してくれるだろう?それでこの病院はいつから開くんだ?明日からかぁ…よし、早速明日連れていくか」
そして私を振り向く。
「と言うわけだ。鈴音。明日3人でこの病院へ行こう」
「え?」
私は突然の亮平の言葉に驚いた。
「この大学病院は同じ駅だし、病院行きのバスも出ているしな。これならいずれ忍も状態が良くなれば1人で通院することも出来るだろう?」
「あのねぇ、明日仕事休むなんて無理だから」
「何だよ、どうしても姉を病院に連れて行かないといけないからって理由で休めないのか?」
亮平が非難めいた眼でこちらを見てくる。
「それじゃあ聞くけど、亮平は明日は仕事休むの?」
「俺はもともと休みだ」
「何それっ!だったら明日は亮平だけ付き添いしてよ」
「何言ってるんだよ?だって俺と忍はまだ赤の他人なんだぞ?」
「だったら婚約者だってことにしちゃえばいいじゃない」
婚約者…自分で言った言葉なのに、胸がズキリと痛む。
「婚約者か。う~ん…」
何故か亮平は困った顔をして腕組みをしている。
「それに私はまだお姉ちゃんと一緒には行動出来ないよ」
「分かったよ。明日は俺が忍を連れて2人で病院へ行ってくる。だけど鈴音。忍はお前の姉なんだから見捨てるなよ?心の病気が治るまでは」
「うん、分かったよ」
私は力なく返事をしたけど、亮平は何も分かっていない。
亮平…見捨てられたのは私の方なんだよ――?
すると亮平はテレビ台の棚に置かれたノートパソコンを指さす。
「検索だ」
「え?検索?」
「ああ、今日は俺と一緒に忍を連れていく病院を2人で探そう。あまり遠くの病院はお互いに仕事を抱えているから難しいだろう?どこか近場の大学病院か、精神科のクリニックを探すんだよ。スマホで見るよりPCで検索した方が見やすいだろう?2人の休みが一緒なのは今日までなんだし」
「あ~成程ね。うん。分かった」
早速私は棚の上のノートパソコンを取り出すと、コンセントを差し込み電源を入れた。そしてPCが起動すると、亮平はコーヒーを持って私の隣に座った。
「俺にも見せろよ」
「う、うん。分かってるよ」
そして私と亮平は2人で一緒に検索を始めた。
「う~ん。ここは駅から大分離れているな…」
亮平は必死で画面を食い入るように見ている。その瞳は真剣だ。一方、落ち着かないのは私の方。お互い肩を寄せ合ってPCを見ているので、亮平の息遣いを間近で感じて、自然に胸がドキドキと高鳴ってきた。
だけど…。こんな風に意識しているのはきっと私だけなんだろうな。所詮亮平に取って私はただの幼馴染で恋人の妹。ただそれだけの関係。ぼんやりとそんな事を考えていると、亮平に声をかけられた。
「おい、鈴音」
「な、何っ?!」
亮平の顔を見ると不服そうにこちらを見ていた。
「鈴音。お前…やる気あるのか?」
「え?」
「さっきから真剣に見ているのは俺だけじゃ無いか?お前忍を何とか元通りに治してやろうって気はあるのかよ?」
「う、うん。勿論治したいって思っているに決まっているでしょう?」
「そうか。なら真剣に探せよ」
「はい」
亮平に注意された私は今度こそ真剣にお姉ちゃんの病院探しを始めた――
検索を始めて1時間程経過した頃、ようやく1件の病院を見つけた。そこは精神科の科目が多く、中には遠方から訪れる患者も多いと書いてある。
「ほら、見て見ろ鈴音。特にこの医者、まだ30歳と若いけど、精神科の名医みたいだぞ?」
亮平はスマホで別に名医と呼ばれている男性医師のプロフィール画面を眺めながら言う。
「なぁ、鈴音。この病院にしようぜ」
「え?でもここ大学病院だし、紹介状も無しでいきなりなんて…」
「別に紹介状なくたって、金を払えば診察してくれるだろう?それでこの病院はいつから開くんだ?明日からかぁ…よし、早速明日連れていくか」
そして私を振り向く。
「と言うわけだ。鈴音。明日3人でこの病院へ行こう」
「え?」
私は突然の亮平の言葉に驚いた。
「この大学病院は同じ駅だし、病院行きのバスも出ているしな。これならいずれ忍も状態が良くなれば1人で通院することも出来るだろう?」
「あのねぇ、明日仕事休むなんて無理だから」
「何だよ、どうしても姉を病院に連れて行かないといけないからって理由で休めないのか?」
亮平が非難めいた眼でこちらを見てくる。
「それじゃあ聞くけど、亮平は明日は仕事休むの?」
「俺はもともと休みだ」
「何それっ!だったら明日は亮平だけ付き添いしてよ」
「何言ってるんだよ?だって俺と忍はまだ赤の他人なんだぞ?」
「だったら婚約者だってことにしちゃえばいいじゃない」
婚約者…自分で言った言葉なのに、胸がズキリと痛む。
「婚約者か。う~ん…」
何故か亮平は困った顔をして腕組みをしている。
「それに私はまだお姉ちゃんと一緒には行動出来ないよ」
「分かったよ。明日は俺が忍を連れて2人で病院へ行ってくる。だけど鈴音。忍はお前の姉なんだから見捨てるなよ?心の病気が治るまでは」
「うん、分かったよ」
私は力なく返事をしたけど、亮平は何も分かっていない。
亮平…見捨てられたのは私の方なんだよ――?