本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第14章 3 姉からの誘い
亮平に交通事故の件で対応してくれたことへの感謝のメールを送った後、お姉ちゃんにメールを送った。内容は今病院を出たこと、検査は受けたけれども結果が出るのは来週ということ、突然の眠気に襲われないように薬が出たこと。それらを完結にまとめてメールを送信した後、バス停乗り場に向かって歩いていると突然電話がかかかってきた。
「誰からだろう……? え? お姉ちゃん!?」
まさかお姉ちゃんから電話がかかってくるなんて。
「もしもし?」
スマホをタップすると、お姉ちゃんの声が聞こえてきた。
『もしもし、鈴音ちゃん?』
「うん、私だよ」
『もう病院から出たのよね?』
「そうだよ、今バスを待ってこれから帰るところ」
『う~ん……』
お姉ちゃんの考え込む声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
『あの……ね鈴音ちゃん。家によって行かない? できれば一緒に夜ご飯食べましょうよ。鈴音ちゃんの好きな親子丼作るから』
「親子丼……」
やっぱりお姉ちゃんは昔のお姉ちゃんに戻ってくれたのだろうか? お父さんとお母さんが飛行機事故で死んじゃってからは私を元気づける為、お姉ちゃんはしょっちゅう私の好きな親子丼を作ってくれていた。それと同時に川口さんの顔が浮かんでくる。どこか悲し気な目で私を見つめるその瞳‥…。
『もしもし、鈴音ちゃん? どうかした?』
私が黙ってしまったことがお姉ちゃんを不安にさせてしまったのだろうか? 何処か心配そうに私に声を掛けてきた。
「ううん、何でも無いよ。でも……」
お姉ちゃんが私と歩み寄ろうとしてくれているなら……私もお姉ちゃんと距離を置くことはもうやめたほうがいいのかもしれない。
『やっぱり駄目かしら……』
寂しげなお姉ちゃんの声が聞こえてくる。
「ううん、駄目じゃないよ。うん、これからタクシーで向かうから待っていて」
『本当? それじゃ待ってるわね?』
途端に電話口で嬉しそうな声が聞こえてきた。
「うん、今から30分くらいで行けると思うから待っていてね。それじゃまたね」
電話を切ると、私は踵を返してタクシー乗り場へ向かった――
タクシーに乗り始めて20分後――
窓の外をぼんやり眺めていると、ついにポツポツと雨が降り出してきた。
「ああ……とうとう雨が降ってきてしまいましたね」
40代前後と思われるタクシードライバーの男性が声をかけてきた。
「ええ、そうですね……」
窓の外の景色を眺めながら返事をした。やがて雨は本降りになり、タクシーの中にいてもザアザアと雨の音が聞こえてくる
「お客さん、傘はお持ちですか?」
再び運転手さんが声をかけてきた。
「はい、持っています」
「そうですか、なら良かったです。お持ちじゃないなら一緒に降りて玄関まで傘をさしてあげようかと思っていたので」
「いえ、そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ。ご親切にありがとうございます」
「いえ……それほどでもありませんよ」
運転手さんは頭をかいている。
ミラー越しに見えた運転手さんの顔は……恥ずかしそうに笑っていた――
「どうもありがとうございました」
土砂降りの雨の中、傘をさして降りた私は運転手さんにお礼を述べた。
「またのご利用をお待ちしております」
運転手さんはそれだけ言うと、走り去って行った。
私は家の門を開けて玄関に立つとインターホンを押した――
「誰からだろう……? え? お姉ちゃん!?」
まさかお姉ちゃんから電話がかかってくるなんて。
「もしもし?」
スマホをタップすると、お姉ちゃんの声が聞こえてきた。
『もしもし、鈴音ちゃん?』
「うん、私だよ」
『もう病院から出たのよね?』
「そうだよ、今バスを待ってこれから帰るところ」
『う~ん……』
お姉ちゃんの考え込む声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
『あの……ね鈴音ちゃん。家によって行かない? できれば一緒に夜ご飯食べましょうよ。鈴音ちゃんの好きな親子丼作るから』
「親子丼……」
やっぱりお姉ちゃんは昔のお姉ちゃんに戻ってくれたのだろうか? お父さんとお母さんが飛行機事故で死んじゃってからは私を元気づける為、お姉ちゃんはしょっちゅう私の好きな親子丼を作ってくれていた。それと同時に川口さんの顔が浮かんでくる。どこか悲し気な目で私を見つめるその瞳‥…。
『もしもし、鈴音ちゃん? どうかした?』
私が黙ってしまったことがお姉ちゃんを不安にさせてしまったのだろうか? 何処か心配そうに私に声を掛けてきた。
「ううん、何でも無いよ。でも……」
お姉ちゃんが私と歩み寄ろうとしてくれているなら……私もお姉ちゃんと距離を置くことはもうやめたほうがいいのかもしれない。
『やっぱり駄目かしら……』
寂しげなお姉ちゃんの声が聞こえてくる。
「ううん、駄目じゃないよ。うん、これからタクシーで向かうから待っていて」
『本当? それじゃ待ってるわね?』
途端に電話口で嬉しそうな声が聞こえてきた。
「うん、今から30分くらいで行けると思うから待っていてね。それじゃまたね」
電話を切ると、私は踵を返してタクシー乗り場へ向かった――
タクシーに乗り始めて20分後――
窓の外をぼんやり眺めていると、ついにポツポツと雨が降り出してきた。
「ああ……とうとう雨が降ってきてしまいましたね」
40代前後と思われるタクシードライバーの男性が声をかけてきた。
「ええ、そうですね……」
窓の外の景色を眺めながら返事をした。やがて雨は本降りになり、タクシーの中にいてもザアザアと雨の音が聞こえてくる
「お客さん、傘はお持ちですか?」
再び運転手さんが声をかけてきた。
「はい、持っています」
「そうですか、なら良かったです。お持ちじゃないなら一緒に降りて玄関まで傘をさしてあげようかと思っていたので」
「いえ、そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ。ご親切にありがとうございます」
「いえ……それほどでもありませんよ」
運転手さんは頭をかいている。
ミラー越しに見えた運転手さんの顔は……恥ずかしそうに笑っていた――
「どうもありがとうございました」
土砂降りの雨の中、傘をさして降りた私は運転手さんにお礼を述べた。
「またのご利用をお待ちしております」
運転手さんはそれだけ言うと、走り去って行った。
私は家の門を開けて玄関に立つとインターホンを押した――