本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第15章 4 優しい夜
川口さんとマンション前で別れて部屋に帰るとまだ昼間の暑さが部屋にこもっているのか、熱気がたまっていた。
「うわ……暑い。エアコンつけなくちゃ」
テレビ台の上に置いておいたリモコン置き場からエアコン用のリモコンを取り出すと、温度設定を27度にしてスイッチを入れた。
「今夜は暑いから冷やし中華にしようかな」
壁のフックにかけておいたエプロンを身に着けると、さっそく料理の準備を始めた。冷蔵庫から買い置きしていたきゅうりにハム、卵、冷やし中華を取り出す。まずはフライパンで薄焼き卵を作ってお皿に乗せたペーパータオルの上に乗せた。次にきゅうりとハムを千切りにして小皿に分けておいて鍋に水を入れてコンロに火をつける。
「せめてコンロが二口あればいいんだけどな~」
そうすればもっと効率よく料理をすることが出来るのに。
冷ましておいた薄焼き卵を薄切りにしている間にお湯が沸いたので、麺を菜箸で解しながらゆで上げる。それを今度はざるに上げて、お水で良く洗って水切りをした。最後にお皿に麺と具材を乗せて……。
「シャワー浴びてから食べよう」
出来上がった冷やし中華にラップをして冷蔵庫にしまうと、着替えを出してバスルームへと向かった――
****
「ふ~……気持ちよかった……」
濡れた髪をタオルで包み込みながらバスルームから出ると、部屋は十分冷え切っていたので一度エアコンのスイッチを切って、部屋の窓を開けた。外からの涼しい風が部屋の中に入り込んできた。
「さて、食べよう」
早速台所に向かい、冷蔵庫から先ほど作っておいた冷やし中華を取り出し、食器棚からお箸とコップをだして、冷蔵庫に冷やしておいた麦茶を注いだ。
お盆に冷やし中華とコップを乗せて部屋に運び、テーブルに置くとテレビのリモコンに手を伸ばした。
「……」
う~ん……特に面白い番組が何もない。仕方がないのでバラエティ番組にチャンネルを変えて、私は冷やし中華を食べることにした。
「いただきます」
テレビと向かい合わせに冷やし中華を食べていると、時々1人暮らしが寂しく感じる時がある。
「多分私はこの先もずっと1人で暮らしていくんだろうな……」
お姉ちゃんとの仲が改善されても、多分私はもう二度とお姉ちゃんと一緒に暮らすことは無いだろう。だって お姉ちゃんは亮平と一緒になるんだから。
もう亮平にはメールを送ってあるし、これからは私が2人の間を取り持つ。そして私は長すぎた片思いを終わらせる。今度こそ……。
私は胸の痛みを抱えながら冷やし中華を食べた――
食器の洗い物を片付け、洗面台の前でドライヤーで髪を乾かしていると電話がかかってきた。もしかして亮平だろうか? スマホの着信相手を見ると、やはり相手は亮平からだった。
ピッ
スマホをタップして電話に出た。
「はい。もしもし」
『もしもし、鈴音。もうマンションに帰ってきているんだろう?』
「うん、帰ってきてるし食事も済んでるよ。今夜はね、川口さんが駅まで迎えにきてくれたんだよ」
私は聞かれてもいないのに、あえて川口さんの名前を出した。亮平に川口さんと交際するように勧められたから、うまくやっている事を知らせておこうと思ったからだ。
『ふ~ん、そうか』
亮平は興味なさげに返事をした。
『それで今度の週末3人で出かけるって話だけど、鈴音は何処に行きたいんだ? 希望があればそこへ行くぞ? どこがいい?』
今夜の亮平はどうしたんだろう? いつもより声が優し気に感じる。だけど亮平は重大な勘違いをしている。
「え? 何言ってるの? ここは私に行きたい場所を聞くんじゃなくて、お姉ちゃんに聞くべきじゃない? 第一私は行かないつもりだから。出かけるのは2人なんだからね?」
『え……? 2人って……?』
亮平の意外そうな声が受話器から聞こえてくる。
「だから私は行かないからお姉ちゃんと2人で行ってきて。デートしてきなよ。お姉ちゃんの事好きなんでしょう?」
『鈴音! 俺は……!』
「どうしたの?」
『い、いや……何でも無い。分かったよ。でも俺からはまだ忍に連絡入れにくいから鈴音から入れておいてくれるか?』
「いいよ、私からするつもりだったもの」
『そうか……それで久々の仕事はどうだった?』
「うん、良かったよ。ちょっと疲れたけど」
『何? 疲れたのか? でも当然か。久しぶりの仕事だったし……また眠気が来ないように早く寝るんだぞ?』
「う、うん」
『それじゃ、おやすみ』
「うん、おやすみなさい……」
そして電話は切れた。
何故か今夜の亮平は妙に優しかった――
「うわ……暑い。エアコンつけなくちゃ」
テレビ台の上に置いておいたリモコン置き場からエアコン用のリモコンを取り出すと、温度設定を27度にしてスイッチを入れた。
「今夜は暑いから冷やし中華にしようかな」
壁のフックにかけておいたエプロンを身に着けると、さっそく料理の準備を始めた。冷蔵庫から買い置きしていたきゅうりにハム、卵、冷やし中華を取り出す。まずはフライパンで薄焼き卵を作ってお皿に乗せたペーパータオルの上に乗せた。次にきゅうりとハムを千切りにして小皿に分けておいて鍋に水を入れてコンロに火をつける。
「せめてコンロが二口あればいいんだけどな~」
そうすればもっと効率よく料理をすることが出来るのに。
冷ましておいた薄焼き卵を薄切りにしている間にお湯が沸いたので、麺を菜箸で解しながらゆで上げる。それを今度はざるに上げて、お水で良く洗って水切りをした。最後にお皿に麺と具材を乗せて……。
「シャワー浴びてから食べよう」
出来上がった冷やし中華にラップをして冷蔵庫にしまうと、着替えを出してバスルームへと向かった――
****
「ふ~……気持ちよかった……」
濡れた髪をタオルで包み込みながらバスルームから出ると、部屋は十分冷え切っていたので一度エアコンのスイッチを切って、部屋の窓を開けた。外からの涼しい風が部屋の中に入り込んできた。
「さて、食べよう」
早速台所に向かい、冷蔵庫から先ほど作っておいた冷やし中華を取り出し、食器棚からお箸とコップをだして、冷蔵庫に冷やしておいた麦茶を注いだ。
お盆に冷やし中華とコップを乗せて部屋に運び、テーブルに置くとテレビのリモコンに手を伸ばした。
「……」
う~ん……特に面白い番組が何もない。仕方がないのでバラエティ番組にチャンネルを変えて、私は冷やし中華を食べることにした。
「いただきます」
テレビと向かい合わせに冷やし中華を食べていると、時々1人暮らしが寂しく感じる時がある。
「多分私はこの先もずっと1人で暮らしていくんだろうな……」
お姉ちゃんとの仲が改善されても、多分私はもう二度とお姉ちゃんと一緒に暮らすことは無いだろう。だって お姉ちゃんは亮平と一緒になるんだから。
もう亮平にはメールを送ってあるし、これからは私が2人の間を取り持つ。そして私は長すぎた片思いを終わらせる。今度こそ……。
私は胸の痛みを抱えながら冷やし中華を食べた――
食器の洗い物を片付け、洗面台の前でドライヤーで髪を乾かしていると電話がかかってきた。もしかして亮平だろうか? スマホの着信相手を見ると、やはり相手は亮平からだった。
ピッ
スマホをタップして電話に出た。
「はい。もしもし」
『もしもし、鈴音。もうマンションに帰ってきているんだろう?』
「うん、帰ってきてるし食事も済んでるよ。今夜はね、川口さんが駅まで迎えにきてくれたんだよ」
私は聞かれてもいないのに、あえて川口さんの名前を出した。亮平に川口さんと交際するように勧められたから、うまくやっている事を知らせておこうと思ったからだ。
『ふ~ん、そうか』
亮平は興味なさげに返事をした。
『それで今度の週末3人で出かけるって話だけど、鈴音は何処に行きたいんだ? 希望があればそこへ行くぞ? どこがいい?』
今夜の亮平はどうしたんだろう? いつもより声が優し気に感じる。だけど亮平は重大な勘違いをしている。
「え? 何言ってるの? ここは私に行きたい場所を聞くんじゃなくて、お姉ちゃんに聞くべきじゃない? 第一私は行かないつもりだから。出かけるのは2人なんだからね?」
『え……? 2人って……?』
亮平の意外そうな声が受話器から聞こえてくる。
「だから私は行かないからお姉ちゃんと2人で行ってきて。デートしてきなよ。お姉ちゃんの事好きなんでしょう?」
『鈴音! 俺は……!』
「どうしたの?」
『い、いや……何でも無い。分かったよ。でも俺からはまだ忍に連絡入れにくいから鈴音から入れておいてくれるか?』
「いいよ、私からするつもりだったもの」
『そうか……それで久々の仕事はどうだった?』
「うん、良かったよ。ちょっと疲れたけど」
『何? 疲れたのか? でも当然か。久しぶりの仕事だったし……また眠気が来ないように早く寝るんだぞ?』
「う、うん」
『それじゃ、おやすみ』
「うん、おやすみなさい……」
そして電話は切れた。
何故か今夜の亮平は妙に優しかった――