本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
第17章 1 引っ越し準備
新しい物件の契約も無事済んだ翌日――
この日は仕事が休みだった。
私はこのマンションに始めて引っ越してきた時の明細書を見つめていた。ここはかつて直人さんが働いていて……恐らく今はやめてしまったであろう引っ越し会社。ここには会社の電話番号が示されてある。恵利さんからは何も聞かされていないけれども、直人さんはとっくにこの会社をやめているに違いない。だけど、最後に例え別人でも……あのユニフォームを目に焼き付けてここを去りたいと私は思っていた。
震える手で私はスマホをタップした――
****
「ふう〜……良かった……」
電話を切ると、安堵のため息を思わずついてしまった。かなり急なお願いだったにも関わらず、引っ越し出来る日が決まったのだ。それは皮肉な事にクリスマスイブの日だった。
「クリスマスイブ……」
それにしても半月前までは自分がこんな状況におかれるとは夢にも思ってもいなかった。この日は直人さんと一緒にディズニーランドでデートして、そのままホテルに宿泊することになっていたのに……。
だけど全て終わってしまった。直人さんは私の元を去り、バレンタインに結婚式を挙げる。手元にあったホテルのチケットも新しく婚約者となった恵利さんの手に渡り、私にはもう何も残されていない。
私が知っている直人さんの連絡先は全て使えなくなってしまったのでアドレス帳からも削除した。
ただ……どうしても直人さんとのメールのやりとりや、スマホに残された画像だけは消すことが出来なかった。我ながらなんて未練がましいのだろう。いっそのことスマホを全て新品にしてしまいたいくらいだったけども、そんな勇気すら私には無かった。
今私が住んでいるマンション……泊まりは無かったけれども、直人さんは何回も遊びにやってきた。そして目と鼻の先にある直人さんが住んでいたマンション……。
とてもではないけど、ここに住むのはもう限界だった。
「まさか……引っ越しすることになるなんて……思わなかったな……」
直人さんの事を考えると、どうしてもまだ目頭が熱くなってしまう。
「ダメダメ、もう直人さんの事は忘れないといけないんだから!」
私は無理に自分を奮い立たせると、引っ越しの為の荷物整理を始めた――
****
14時――
お昼も食べずに夢中になって片付けをしているうちに、紐やダンボール、ガムテープなどが一切無い事に気がついた。
「あ……いけない。買いに行かなくちゃ……」
ショルダーバッグに財布とスマホを入れてマンションを出ると駐輪場から自転車を引っ張り出している時に、ふと視線を感じた気がした。
「?」
だけど顔を上げて辺りを見渡しても誰もいない。気のせいかな……?
私は対して気にも止めず、自転車に乗ってホームセンターへ向かった――
「ふう……大変だった」
とりあえず持てるだけの梱包用品を自転車の籠と荷台にくくりつけて何とか自室へと辿り着いた。それにしても疲れた……。時計を見るともう16時になろうとしている。
「うわ……もうこんな時間だ。できるだけ早くやらなくちゃ」
再び私は荷造りの準備を始め、買ってきたダンボールに詰めるだけ詰め込み終わった時には20時を過ぎていた。
「あ〜疲れた……」
ベッドにゴロリと横になって、始めて自分のお腹が空いている事に気がついた。そう言えば朝起きてから何も食べていなかったっけ。
「何か食べるもの合ったかな……?」
キッチンへ向かって冷蔵庫を開けてみたけど何も食べれそうな物も無かった。
「仕方ないな……。何か買ってこよう……」
再び財布を持って出かける準備を始めている時。
――ピンポーン
部屋の中にインターホンが鳴り響いた――
この日は仕事が休みだった。
私はこのマンションに始めて引っ越してきた時の明細書を見つめていた。ここはかつて直人さんが働いていて……恐らく今はやめてしまったであろう引っ越し会社。ここには会社の電話番号が示されてある。恵利さんからは何も聞かされていないけれども、直人さんはとっくにこの会社をやめているに違いない。だけど、最後に例え別人でも……あのユニフォームを目に焼き付けてここを去りたいと私は思っていた。
震える手で私はスマホをタップした――
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「ふう〜……良かった……」
電話を切ると、安堵のため息を思わずついてしまった。かなり急なお願いだったにも関わらず、引っ越し出来る日が決まったのだ。それは皮肉な事にクリスマスイブの日だった。
「クリスマスイブ……」
それにしても半月前までは自分がこんな状況におかれるとは夢にも思ってもいなかった。この日は直人さんと一緒にディズニーランドでデートして、そのままホテルに宿泊することになっていたのに……。
だけど全て終わってしまった。直人さんは私の元を去り、バレンタインに結婚式を挙げる。手元にあったホテルのチケットも新しく婚約者となった恵利さんの手に渡り、私にはもう何も残されていない。
私が知っている直人さんの連絡先は全て使えなくなってしまったのでアドレス帳からも削除した。
ただ……どうしても直人さんとのメールのやりとりや、スマホに残された画像だけは消すことが出来なかった。我ながらなんて未練がましいのだろう。いっそのことスマホを全て新品にしてしまいたいくらいだったけども、そんな勇気すら私には無かった。
今私が住んでいるマンション……泊まりは無かったけれども、直人さんは何回も遊びにやってきた。そして目と鼻の先にある直人さんが住んでいたマンション……。
とてもではないけど、ここに住むのはもう限界だった。
「まさか……引っ越しすることになるなんて……思わなかったな……」
直人さんの事を考えると、どうしてもまだ目頭が熱くなってしまう。
「ダメダメ、もう直人さんの事は忘れないといけないんだから!」
私は無理に自分を奮い立たせると、引っ越しの為の荷物整理を始めた――
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14時――
お昼も食べずに夢中になって片付けをしているうちに、紐やダンボール、ガムテープなどが一切無い事に気がついた。
「あ……いけない。買いに行かなくちゃ……」
ショルダーバッグに財布とスマホを入れてマンションを出ると駐輪場から自転車を引っ張り出している時に、ふと視線を感じた気がした。
「?」
だけど顔を上げて辺りを見渡しても誰もいない。気のせいかな……?
私は対して気にも止めず、自転車に乗ってホームセンターへ向かった――
「ふう……大変だった」
とりあえず持てるだけの梱包用品を自転車の籠と荷台にくくりつけて何とか自室へと辿り着いた。それにしても疲れた……。時計を見るともう16時になろうとしている。
「うわ……もうこんな時間だ。できるだけ早くやらなくちゃ」
再び私は荷造りの準備を始め、買ってきたダンボールに詰めるだけ詰め込み終わった時には20時を過ぎていた。
「あ〜疲れた……」
ベッドにゴロリと横になって、始めて自分のお腹が空いている事に気がついた。そう言えば朝起きてから何も食べていなかったっけ。
「何か食べるもの合ったかな……?」
キッチンへ向かって冷蔵庫を開けてみたけど何も食べれそうな物も無かった。
「仕方ないな……。何か買ってこよう……」
再び財布を持って出かける準備を始めている時。
――ピンポーン
部屋の中にインターホンが鳴り響いた――