君のスガタ
 早く来いと言わんばかりに手で合図をしてきた。

「はい!」

 私は駆け足で行きながら、返事をした。

 外に行くと、暗闇の中を歩いるみたいだった。

「もう寒くなってきたね」

 松永先輩は空を仰いで、言葉にした。

「そうですね、寒くなってきましたね」

 私も同じように空を見上げる。

 こんなにも星が綺麗に見えたっけ。

 星なんて見上げることなかったから。

 時間がある時に前は見てたのに、勉強や部活動をしている内に空や星なんて見れなかった。

 見るなんてできなかった。目の前のことで精一杯だった。

 バレー、うまくなりたい。レギュラーになりたい。早くレギュラーに入って、先輩たちとプレーをしたい。

 部活動のことで頭いっぱいで今日の天気は晴れかなどぼんやりと思うだけだった。

 こんなにゆっくり見たのはいつぶりだろう。

「…いいな。この空。暗さがあるけど、一筋の光、星が見える。柚と同じ。黙々と練習してそのトンネルの中を潜り抜けようと少しの光を探そうとする柚は素敵なんだよ」

 松永先輩はズボンのポケットに両手を入れてから、頭をかいていた。
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