君のスガタ
 女子委員長は厳しくやっているが、実は堺くんが辛くならないように具体的かつ丁寧に言葉で示してくれた。

「シンデレラはなんで王子のことが好きになったんだろう」

 堺くんはポツリと言い、小動物のような目で女子委員長を見る。

 周りの人達は堺くんを見てから女子委員長の答えがどんな返答をしてくるのか口に出すのを待っていた。

「それは……運命じゃないかな」

 女子委員長は無表情で真面目に答えた。

 女子委員長からそんな言葉が出てくるとは思わなくて、クラスの人達はクスクスと笑っていた。

 それに気づいた女子委員長は下を向いていた。堺くんはえ? とした顔で目を丸くしていた。

 多分、堺くんは女子委員長が言った運命じゃないかなという言葉をよく理解していない。

 ただその言葉になんだという表情をしていた。

 そんなクラス全員がなにそれ? あー、例え話だとしても運命ってないよな。

シンデレラって物語の中だしな等とコソコソと言っていると、誰かが声を出す。

「運命ってあるんじゃないかな」 

 どこからか声がすると思ったら、私たちは壇上にいたので、壇上の下で真ん中に立っている人がいた。
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