邪竜の鍾愛~聖女の悪姉は竜の騎士に娶られる~
 ミリエルの緩く結わえた銀の髪が風に流れる。
 その髪をそうっと撫でて、ユアンがミリエルの唇にもう一度口付ける。
 あたたかい、ミリエルを愛している、と伝わってくるキスに、ミリエルは目を細めた。
「ミリー、それは、ずるい」
「じゃあ、もっとずるいことを言うわね」
 ミリエルはくすくすと声を立てて笑う。顔を赤くしてミリエルを抱きしめるユアンが、愛しくてならない。
「……あなたを愛してるわ、ユアン」
 三年前、初めて口にした愛の言葉を繰り返しても、もう、そこにあの日の絶望はない。
「ミリー……!」
 一度腕をほどかれ、そうして、ミリエルの座るソファの前で、もう一度、今度は優しく、正面から抱きしめられた。とくん、とくん、と胸が高鳴る。
 いつだって、あなたに恋をしている。こんな日々を愛している。
 あなたといられて幸せだ。昼間の月のように、いつまでも一緒にいてくれるあなたを、心から、心から、愛しいと思う。
 だから、次に訪れる言葉も、もうわかっていた。
「……僕も、君を愛している」
 空は高く、遠く、まばゆい光に満ちている。
 そして、いつも見守ってくれる昼間の月は、ここにあった。
 空に見えなくとも──今、そう、ここに。
「わたし」の、となりに。

おしまい
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