今を生きる君とこれからも
―瑠夏へ―
なんか、遺言書ってかっこいいかなって思って書いたんだけど、結構、書くのって難しいね。
じゃあ、とりあえず、前、決めたことをまとめたから。
①俺が死んでも自分のせいにしない。
②瑠夏を幸せにしてくれる人に出会う。
③俺のこと、このことを、忘れないで。俺のことずっと好きでいて。瑠夏のこと、好きでいるから。絶対。
俺は、なにがなんでも瑠夏が俺のせいで苦しむことは許さない。だから、②、もとに戻させてもらった。瑠夏にはまだ未来があるんだから、こんな俺で手をうってほしくない。世の中にはもっといい奴いるからさ。俺は、それでも瑠夏の事はずっと好きだから。だから、
瑠夏も、俺のこと、好きでいて欲しい。忘れないで。
今までありがとう。色々迷惑かけたよね。ごめん。
それでも、傍にいてくれる瑠夏が大好きだ。いつも、俺の想像を超えてくる瑠夏が大好きだ。
俺が苦しい時に、必ず俺がほしい言葉を言ってくれる瑠夏が大好きだ。たまに口が悪くなる瑠夏も大好き、怒ると怖い瑠夏も大好き、優しくしてくれる瑠夏も大大大好き。
もう、瑠夏の全部が大好き。俺のこと、好きになってくれてありがとう。
さようなら。
遺言書はそれで終わっていた。
「瑠夏、顔、上げて。」
酸素マスクを外したその声はそても透き通っていた。
そして、手が伸びてきて、私の顔に優しく触れた。
その瞬間、私と晴の唇が触れる。そして、魂が抜けるように、晴の手からは力が抜けた。
離れ際、晴が私の耳元で囁いた言葉。
―瑠夏、大好き。助けてくれて、ありがとう。―
私は何を助けたのだろう。逆に、私の方が助けてもらっていたのに。
気が付くと、そこには目を瞑り、口元には笑みがこぼれている晴の顔があった。
『死ぬときに笑って死ぬ人はこの世に満足して逝った人だ。』
昔、聞いたことのある言葉が蘇った。
満足してくれたんなら良かった。
ピ―――――
電子音が病室に響く。
なぜか、とても悲しいはずなのに涙が出てこない。
私も、満足できたのかな。受け入れたのかな。
廊下から、走る人達の足音がする。そろそろ、私も帰ろう。
ガラッ
医者達が入ってきた。私は一礼をすると。病室を出た。
奥からは医者達の声が聞こえる。
「予想より、早かったな。」
そうか。そうだよな。本当は明日だったんだもんな。
その時、宮本さんが声をかけてくれた。
「瑠夏ちゃん。ちゃんと会えた?」
「はい。変な遺言書まで貰いました。」
「ってことは、起きたのね。彼。」
「はい。最後、キスされちゃいました。」
「まあ、素敵な人ね。」
「はい!自慢の彼氏です!」
私は自慢げに答えた。
「あと、私、夢が出来ました。」
「あら、教えて。」
「私、医者になります。そして、患者のそばに居たいんです。」
「いい夢だと思う。頑張って。」
「はい。」

                                       完
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