幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。
「自分を卑下するのは良くない。君は真面目で努力家で、いつも楽しそうに仕事をしてた。君の姿が見たくて無意識にシフトの日を選んで通ってたくらいだ。それに柏木はああ見えて不真面目な人間が嫌いでな。今まで雇ったバイトで自分や客に色目を使って言い寄ったり、仕事を押し付ける人間は容赦無くクビにしていた。アイツに気に入られているんだから相当だ」
その話は美夜も知っている。オーナーは理不尽に厳しいわけではないが、甘いわけでもない。辞めていった人も知っている。が、美夜は普通のことだと思っていた。
「自分の良いところは自分では気づきにくいものだが、俺も美夜の友達も美夜の良いところは分かっているはずだ。もっと自分に自信を持って」
「そう、ですね…努力します」
歯切れの悪い美夜にカイは何処か悲しそうな顔をした。
「例の幼馴染に酷い言葉を投げかけられていたと言っていたが…もしかして人格を否定されるようなことを?」
「…服や化粧、身につけるもの関して似合わない、そんなのつけて恥ずかしいと思わないのかと言われたことは…婚約の件も私みたいな取り柄のない奴をもらってやれる物好きは自分だけだと…カイさん⁉︎」
カイの纏う雰囲気が一気に冷ややかなものに変わる。「ろくでもないな…」と吐き捨てた
「美夜が自分に魅力がないと思ってるのは幼馴染が元凶か…彼のような人間は一定数いる。距離を取るのが1番いい、彼は君にとって害しか齎さないだろうからな」
正直和樹とは関わり合いになりたくない。が、そうしたら父が…と不安に駆られると優しい声が降ってくる。
「心配することは何もないよ…取り敢えずシャワーを浴びるか。一緒に入る?」
「え?む、無理です!」
揶揄うカイをどうにか躱しながら美夜は散乱した服を身につけて洗面所に向かう。カイは美夜が寝ている間にトラベルセットや下着を買っていてくれたらしく、それが洗面所に用意されていた。至れり尽くせりで感動した。
美夜がシャワーを浴びているうちに簡単に朝食の準備をしていたカイが、入れ替わりでシャワーを浴びに行った後2人で朝食を食べる。カイが出かける時間になるまで…イチャイチャしていた。彼が出かける頃には色んな意味で美夜はグッタリしていた。