幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。
(カイさんが何かしたんだ)
「っ!何やってるんだ!」
玄関での騒ぎを聞きつけ、奥から父親も出てきた。実の娘を相手に恫喝にも勝る勢いで迫る母を引き剥がす。
「美夜、帰ってきたのか…?後ろにいる方は?」
母と違い冷静な父はカイの存在に気づき、美夜に問いかける。美夜が紹介する前にカイが口を開いた。
「突然お邪魔してしまい、申し訳ございません。私こういう者でして」
人好きする笑顔を一瞬で貼り付けたカイはカバンから取り出した名刺を父に差し出す。
「…清宮グループ本社営業部部長、清宮海斗…!清宮ってあの!」
美夜は初めてカイの本名を知り、父、父に抑えられている母と同じく仰天していた。
清宮グループは旧財閥を全身とする金融、食品、メーカー、不動産等幅広く展開する巨大総合企業。国の中枢を担う、大企業。比べるのも失礼だが青山フーズとは格が違う。
(名字が同じ、カイさんはもしかして創業者一族の…)
「ええ、現社長は父なので私は次期社長という立場に。またまだ若輩者なんですが」
(やっぱり!)
美夜は知らなかったとはいえ、大企業の御曹司相手に数々の醜態を晒した上に多大な迷惑をかけたことに背筋が寒くなる。
「そ、そんな方が何故美夜と…ここでする話ではありませんね、どうぞ」
父は動揺を隠しつつ、カイを家に上げリビングに案内する。美夜は困惑しつつもカイの後をついていく。