幼馴染から助けてくれた常連さんに囲い込まれました。
「…吠えるしか能のない馬鹿は本当めんどくせぇな…口閉じろって言ったのに聞こえてない?その耳は飾りか?…ああ、そうだ。俺が馬鹿でヘタレな君のために手を貸してやるよ、20年間言えなかった君のために」
一転して楽しそうな声音のカイに何故かゾクっと、冷たいものが走った。何をするのか分からずキョトンとする美夜と、カッと目を見開いた和樹は「やめっ」と口走るが、遅かった。
「君があんな不可解なことをした理由は、美夜が好きだったからだろう?幼少期から徹底的に貶め、魅力がないと自信を無くさせた美夜にお前を必要としてるのは俺だけだとか反吐が出そうな台詞を吐いて、モノにしようとしたのか?そんな方法で好きな相手を手に入れても虚しいだけだと思うが、君のような人間はそれで満足なのか?心底気になるが、理解出来なそうにない」
「っ…!」
和樹はワナワナと震え、怒りと絶望が入り混じった複雑な表情をしていた。見開かれた焦点の合わない目に、傷が付きそうな程強く唇を噛む姿。
その反応から美夜はカイの言ったことが当たっているのだと、理解した。
(あれだけ楽しそうに私を傷つけて、罵って…私の必死で耐えてる顔が好きとか言ってたのは、嫌ってるからだと思ってた…好きって何?好きな相手にあんなことするの?)
美夜は和樹の思考回路が全く理解できない。いや、理解したくもない。以前電話した時和樹を得体の知れない何かに感じたことがあった。あの時の気持ち悪さを鮮明に覚えている。
そして、今の美夜の中にある彼に対する感情は…。