極上の男を買いました~初対面から育む溺愛の味~
 恥ずかしいような居心地の悪さを感じ思わずそわそわと視線をさ迷わせると、私の左手にそっと光希の手が重ねられた。

「お金はいらない。その代わり、朱里が欲しい」
「私が、欲しい……?」
「朱里は俺の未来を買ったんだ。そして俺にも朱里の未来を買わせて。経験を積むためじゃなく、一緒にこれから色んな経験をするために」

 そう言った光希の指が、重ねられている私の左手薬指をそっとなぞる。
 その行動で、これが彼なりの告白だと気付き一気に頬が熱くなった。
 
「ちなみに、クーリングオフ期間はもう終わってるから返品は不可だよ?」
「ちょ、それ私に選択肢ないんじゃない!?」
「あははっ、気付いちゃった?」

 私のツッコミに思い切り笑った光希。
“こんなこと言いながら、私がもし困った顔をすれば全て冗談にして解放してくれるんだろうな”

 そして次仕事であった時も、何事もなかったように笑うのだろう。
 私が気にしないように。

 だって私たちの仕事は始まったばかりなのだから。
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