気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「……ほっとするなら、繋いでおこうか?」

 おずおずと志信さんの手が伸びてきて、私の前で止まる。

 ホテルを見て回っている時、階段を下りようとする私に手を差し伸べてくれたのを思い出した。

「嫌じゃない……?」

 私は安心するけれど、志信さんは違う。

 人に触れられる不快感を知っているからこそ尋ねたのに、答えよりも早く手を握られた。

「そんな不安そうな顔で聞かないでくれ。もっと甘えていいんだ。君は俺の妻なんだから」

 怒った言い方をしていても、彼の優しさを強く感じた。

 胸がいっぱいになって、温かな手を握り返す。

「……うん」

 契約夫婦であっても、彼は私に手を差し伸べてくれる。

「ありがとう」

「手を繋いだくらいでお礼なんか言わなくていい」

 素っ気なく言うと、また志信さんが歩き出した。

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