気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 俺について知ってもらうために用意した時間だったが、彼女を見ているだけで満足しそうになる。

「ここってやっぱり予約を取りづらい場所なの?」

 ワイングラスを軽く傾けながら質問されて、疑問を覚える。

「毎月、予約の受付開始が始まると一瞬で埋まるらしい。クリスマスやバレンタインデーなんかのイベントがある日は、特にすごいと言っていたな。また来たいなら、俺に言ってくれれば藍斗に言って融通をきかせてもらうが」

 俺がいるのだから頼めばいつでも連れてくるのに、という気持ちを滲ませて言うと、優陽は少し考えた様子を見せた。

「いつか両親を連れてきたいなって」

「じゃあ――」

 顔合わせの時にでも、と言おうとして口をつぐむ。

 俺たちの結婚は一年で終わるのだから、顔合わせをする必要はないのに、なぜそんなことを言いそうになったのかわからなかった。

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