気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「食べたいものがあったら言ってくださいね。明日の夕飯も頑張ります」

「……そのうち弁当まで要求してしまいそうだ」

「会食の予定がないなら作りますよ。魅上さんの分も作りますか?」

 志信さんとは長い付き合いの秘書の名を出すと、なぜか嫌な顔をされる。

「君の料理をほかの奴と分け合うつもりはないよ。全部、俺のものにする」

「帰ってきたらいくらでも食べられるのに……」

「そういう問題じゃない。君は俺の妻だという自覚が足りていないな」

「だけど私、あくまで契約妻ですよ。本当の妻じゃありません」

「それでも、だ。妻の料理を他の男に食べられて喜ぶ夫はいないだろう?」

 ときどき、彼のこういう発言をずるいと思う。

 契約夫婦なのに、まるで本物の夫婦みたいだといつも錯覚しそうになった。

「そうだ、そろそろここでの生活には慣れたか?」

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