初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

居酒屋では、今まで生きてきた中で一番と言っても過言ではないぐらいお酒を飲んだ。
いろいろあって、調子に乗りすぎたのは否めない。
しっかりと水で喉を潤し、まずは謝罪した。

『ご迷惑をおかけしてすみません』
『別に迷惑をかけられたとは思っていないから気にしなくてもいい。きっと疲れがたまっていたんだろう。あまり無理はするなよ』
『……はい』
『それと、羽山さんがさっき居酒屋で言っていたことだけど、君は魅力的な女性だよ』
『えっ?』

突然の言葉に久住部長を見ると、柔らかな眼差しと視線がぶつかった。

『羽山さんは何事にも一生懸命に取り組んでいるし、細かい気配りも出来る。君が作成するプレゼン資料は群を抜いていい出来だ。それに営業マンがどれだけ助けられているか分からない。所作や姿勢も綺麗だし、誰に対しても同じ態度で接しているところは好感が持てる』

今の言葉は本当に私のことなんだろうか。
誰か別の人と間違っているんじゃないかと思うほどの高評価に戸惑ってしまう。

『自分のことじゃないみたいな顔をしているけど、羽山さんのことを言っているんだからな。君はもっと自信を持っていい』

久住部長の言葉はダイレクトに胸に響く。
というか、仕事でも尊敬している彼の言葉だから余計にだろう。

『ありがとうございます』

居酒屋でも私の愚痴を聞いてくれたり、久住部長の優しさが私の涙腺を緩くする。
おかしいな、泣き上戸ではなかったはずなのに。
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