雨声~形のないラブレター

近畿にある福祉系の大学を調べてスクショを送って貰ったことがあったけれど。
私は私で、東京の大学に進学しようか悩んでいたから。

「……私も、東京の大学にしようか迷ってたんです」
「福祉系は沢山あるけど、言葉の壁は結構きついよ?」
「ほな、暖さんやって……」
「俺は結構慣れてる方だと思うよ?母親の地元がここだから、日常的に聞いてるし」
「そうなんですか?!」
「うん」

握られている手が、きゅっときつくなった。
『心配しなくていいよ』と言われているみたい。

「ちなみに、音大じゃないよ?」
「え?」
「医療系?とでも言っておこうかな」
「……えぇぇっ?!!」
「進学校だからね、勉強は結構出来る方だよ?」

どや顔で言われてしまった。
東京でも関西でも、彼なら簡単に受かるんじゃないかと思う。
むしろ、私が志望する大学に受かるか、そっちの方が問題だ。

「暖さんって、何でもできるんですね」
「……惚れ直した?」
「……はい」
「フッ、マジ顔なんだけど」
「だって本当にカッコいいし、その顔で笑顔向けられたら、惚れて当然ですよっ」
「ッ?!……この顔が好みなんだ?」
「……はい」
「顔だけ?」
「……声も、ピアノも、優しいところも」
「ベタ惚れじゃん」
「もうっ!」
「ごめんごめん」

初めて見た時からカッコいいイケメンだと思っていた。
儚げな眼差しが加味されて、余計に魅力的だったのは言うまでもないけれど。

「好きだよ」
「……へ?」
「紫陽花という名前も、暖さんと呼ぶ、……この唇も」
「ッ?!!」

そっと重なった唇。
甘美な声を奏でる唇は、想像していた以上に柔らかかった。

「あっ……どこか雨宿りできる所に行こっ」
「大丈夫です。私雨だから、すぐ止みますよ」

~FIN~
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