離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜

 ちなみに〝とーま〟こと斗真くんは、千秋さんのボスでお馴染みの永斗社長の息子さんである。王子様と言われる永斗社長と瓜二つのお顔で、老若男女みな魅了している。 

 歳は芽依よりふたつ年上の六歳らしい。二歳になる妹のひまりちゃんのお兄さんで、数カ月後には三人目となるお子さんが生まれる予定だとのことだ。

 会長のお誘いにより、両家はホームパーティーなどで定期的に顔を合わせることが多かった。そうしたなかで、優しくてカッコいい斗真くんに遊んでもらっていた芽依は、すっかり恋する女の子である。

 今日は、そんな子供たちの仲を喜んでいる永斗さんが、先日のパーティーの際、ご実家の漆鷲邸で「食事でもどうかな?」と誘ってくれていた。

「家族みんなで泊まっていってもいいよ? 僕たちもそうするし」と芽依に笑顔で言ったりしたのが、さっきの〝お泊り〟論争の発端だった。
  
 愛娘の初恋に闘争心と嫉妬心を滾らせる千秋さんを見て、永斗社長がものすごく楽しんでいるのが伝わってくる。

 その場で「永斗さん…」と思わず声を上げた千秋さんを見たときは、しばらくクスクス笑っていて、奥様に嗜められていた。


「楽しみだね」
「うん! パパは楽しみ……?」

「……そうですね」


「だよね!」と笑う芽依は気づいていないけれど、千秋さんの笑顔は明らかに寂しそうである。
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