【改訂版】四国州

【事件の闇に迫る】

ところ変わって、本部長室にて…

「達雄、お前さんに頼みがある…お前さんの力を貸して欲しい…」

旧愛媛県警時代にオレを一からきたえて下さった恩師で州警本部の新本部長に就任した佐光本部長がオレに力を貸してほしいと頼んだ。

本部長は、南海道電力本社ビルジャック事件の真相を調べてくれとオレに頼んだ。

オレは2つ返事で、今回の仕事を引き受けた。

依頼料は後払いで3000万円…

3000万円を受け取ったら、放浪の旅に出ようと決めた。

事件から5日後の7月の第4水曜日であった。

ところ変わって、高松市屋島西町の葬祭会館にて…

今回のビルジャック事件で亡くなられたおおぜいのみなさまたちの合同慰霊祭が重苦しい雰囲気の中で行われていた。

本社社長が弔辞を読み上げていた時に、遺族のみなさまが口々にバセイをあげた。

『ふざけるなバカ社長!!』『オドレは事件の発生した日に遊び三昧をしていたのか!?』
『人殺し!!』
『家族を返せ!!』

…………

バセイを受けた社長は、遺族のみなさまから灰や物をぶつけられた。

その頃であった。

黄緑色のカバーでおおっている80リットルのリュックサックを背負っているオレは、葬祭会館へ向かって歩いた。

オレが葬祭会館の200メートル手前に来た時であった。

SAT隊員に排除されたただつぐの父親がたったひとりの母親を亡くした男子高校生からボコボコに殴られている現場を目撃した。

この時、周囲のみなさまが男子高校生を必死になって押さえつけた。

ただつぐの父親は主催者から『お帰りくださいませ!!』とどぎつい声で言われたあと追い返された。

ところ変わって、近くにある岸壁にて…

オレは、ただつぐの父親と一緒に話しをした。

ただつぐの父親は、オレに対して『亡くなられたみなさまにおわびをしたい…お線香1本たむけたい…』とメメシイ声で泣いた。

オレは、ただつぐの父親に対してより冷めた声で言うた。

「じいさんがそのように思うのであればハイリョせえよ…じいさんのセガレひとりのせいで被害者遺族のみなさまがどれだけ怒り狂っているのか…と言う事が分からないようだな〜」
「ワシは遺族のみなさまに謝罪したいのだよ〜」
「やめといた方がいいよ…半殺しに遭うどころか、完全に殺されると思うよ…それでも行く気?」
「わしは、ただつぐの父親だ!!わが子が犯したあやまちをつぐなうのは父親のヤクメだよ〜」
「そう思うのであれば、被害者遺族のみなさまのゲキリンにふれるようなことをしないことだな…それよりもじいさんに頼みがあるのだよ〜」
「頼み?」
「オレは、州警《サツ》からある調査を頼まれたのだよ…悪いけど、てめえのクソガキが使っていた部屋を調べさせてもらうぜ…」

ところ変わって、大川西区にあるただつぐの家にて…

オレは、ただつぐの部屋を調べた。

ただつぐの部屋は、よりひどく荒れていた。

ただつぐの部屋には、パソコンやスマホなどのネット機種がなかった。

オレは、ただつぐが集めていたシューティング(銃)のコレクションと実際の銃やサバイバルナイフなどの凶器類などをスマホのカメラで撮影した。

撮影した写真は、ジーメールで州警本部に送付した。

その翌朝であった。

州警の家宅捜索班の刑事たちがただつぐの部屋に入った。

捜索班の刑事たちは、凶器類を全部押収した。

しかし、容疑者がパソコンやスマホを持っていなかったので凶器類を入手したルートを見つけることがコンナンになった。

刑事たちがただつぐの父親に理由を聞いたが、ただつぐの父親は『勉強のジャマになるからスマホを与えなかった…』と言うただけでほんとうのことを言わなかった。

凶器類の入手経路の解明などについては、州警に任せることにした。

探偵の仕事に戻ったオレは、南海道電力本社のハラスメント問題の調査に取り組んだ。

そんな中であった。

過去に南海道電力本社で大学生がシューカツ中に面接官からオワハラ(終わりにしろハラスメント)の被害を受けた問題で裁判沙汰《サイバン》になった事例などがあきらかになった。

その際に、南海道電力の人事担当の男性が知人を介して新居東区(新居浜市の部分)のやくざ組織を利用して組織の顧問弁護士《ベンゴシ》を紹介していただいた。

その後、顧問弁護士《ベンゴシ》が被害者の大学生に現金1000万円を渡すなどして問題をまるくおさめた。

問題のやくざ組織の組長《おやぶん》と南海道電力の社長が親友同士であった。

さらにしらべてゆくと、ビルジャック事件で亡くなった常務全員がナンバーツーの男と親友であった。

これは、社会全体の信用を大きく損ねる事案だ!!

公共性の高い事業者が反社会的勢力のおやぶん連中と深いつながりがあること自体ゴンゴドウダンだ!!

絶対に許さない!!

ビルジャック事件から始まった悲劇は、ここから幕が上がった。

…と同時に、オレの怒りが高まった。
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