乞い果てて君と ~愛は、つらぬく主義につき。Ⅲ~
「ムリさせねーし、オマエが心配してんのは俊哉がいちばん分かってるってよ?」

・・・なんか口に出されるとめちゃくちゃ気恥ずかしいけど。

「そろそろ主役に花を持たせろ宮子」

「この面子(メンツ)で祝ってもらえるなんざ、榊には敵わねぇな」

仁兄に甲斐さんまで。

「みんな榊に甘すぎーっ」

半分すねてモスコミュールを一息。すると、ユキちゃんがブルスケッタの乗った四角いお皿をこっちに差し出した。

「悪いけどチヨちゃん、哲司さんのところにお願いね」

清涼系の笑顔には逆らえない。スツールから降りてお給仕する。

「よう、ミヤコ。お前もこっちで()ろうや」

相変わらず映画に出てくるマフィアみたいな、白スーツに派手なネクタイのシノブさん。相変わらず気さくっていうか、いい意味でお構いなしっていうか。

「でも三人の邪魔しちゃ悪いですもん」

「野暮な話はナシだ、なぁ伯父貴」

「宮子お嬢が良ければどうです?相澤も構わねぇかい」

「・・・ぜひ」

グラスを持ってきて、淡く笑みを浮かべた相澤さんの向かい、哲っちゃんの隣りに腰かけた。・・・あ。やば。イケメン濃度が高すぎて酸欠になりそ。

「ようやくミヤコらしくなったじゃねぇか。見舞いに行ったときは、どっちが病人だか分からねぇツラしてたが」
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