神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
つまり、この『制約』というのは、難しい『試練』を課すことにより、効力を高め、声に出さないということを達成条件とした、いわば高度な“(まじない)”のようなものらしい。

今回のように瞳子の居場所を“結界”などで隠されるような事態に陥ったとしても、真名を呼ぶことで(つい)である“神獣”には【伝わる】という。

「じゃあ……アンタが来てくれたのは、私がアンタの真実(ほんとう)の名前で呼んだから?」
「……すまない。オレがうかつに何と呼んでくれても構わないと言ってしまったから……」
「まったく余計なことを。格好つけも大概にしてくださいよ。いかに私の話を流さず聞いておくことが大事かってことですよ?」

まぁ、この話をした時、貴方は瞳子サマと出逢う前だったから、流した気持ちも解らなくもないですけどね、と。
双真に厭味を言いつつも、一定の理解を示したイチが話を続ける。

「“神獣”を支配下に置くという形式的なものでなく、この誓約が交わされたのは“花嫁”を案じる“神獣”の想いから始まっているのです。
それこそが『いにしえの誓約』の本質たる意味でしょうね」

イチの説明を聞きながら、ふと、瞳子は嫌なことを思いだす。

(……真名といえば……)
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