ハルサメレオンの春
 「レオン君はミューのもの。渡さないよ。ねっ」



 おもむろに耳元で囁かれたそれは、魔女に魔法をかけられたかのようだった。

 離して、の俺の言葉も耳に入らないのか、ミューは自分に心酔しているようにしか見えなかった。



 「好きって言って」



 …とびきりの注文だった。



 「レオン君と共演が決まった時、ミューね、嬉しかったんだ。誰でも良いと思ってた。

 だけど現実はやっぱり違うんだね。会って益々わかったよ。ミューが恋をするのはファンのみんなだった。

 だけどアイドルじゃないミューが恋をしたのは、君、レオン君だったんだよ」



 …突然の、告白だった。
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