唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 「あぁぁぁ! 借り1じゃなくて、借り100だからな! 今度バンジージャンプ付き合えよ! 死神に魂刈り取られそうになるくらい怖いってネットに書いてあったやつ!」


 「アハハ、気が向いたらね」


 「俺がオメガ女を可愛がる交換条件だっただろーが! なかったことにするな!」


 「あっごめんね、琉乃ちゃん息しづらいよね。苦しいよね。二人だけになれるところに行って、楽にさせてあげるからね」


 「俺様を無視、やめろ」


 「独璃、早く車のカギを渡して」


 「だから!」



 目の前に出された唯都様の手を見つめ、困惑する独璃くん。



 「ヒトリ、ぜってー唯都の言うこと聞くなよ!」


 「独璃はガルルより俺の味方だよね。天禰(あまね)なら早くカギを渡してあげてって言うと思うな」



 我流君と唯都様のどちらにつくべきか、悩みかねているんだろう。

 問題が解けなくて黒板の前で立ち尽くす、モジモジ小学生みたい。

 独璃くんは潤んだ大き目な瞳を尊厳くんに向け、アイコンタクトで助けを求めている。

< 338 / 369 >

この作品をシェア

pagetop