☆トライアングル☆
リクとその
「二ノ宮さん」
と呼ばれた綺麗な人は

学食にいるみんなの視線を集めて

まるでおとぎばなしから出てきたシンデレラと王子様のように

とってもお似合いで、とっても楽しそうだった。

リクに私以外の「特別な人」ができた事は喜ぶべき事なのに

何故か心がチクンって痛んだ。

昨日あんなことしておいて、今日は私をこんな悲しい気持ちにさせて、

やっぱりリクって可愛くない。

大嫌い。

昨日はようやくリクに対してちょっと素直になれた自分がいて

何となく今までよりもリクを受け入れられそうな気がしていたのに。

こんな風にリクにとって家族以外の「特別」な人がもうちゃんといるなら
昨日みたいに何で私に欲求不満をぶつけたりするんだろう。

こっちは心が振り回されていい迷惑だ。

でも、「特別」っていう意味を、はきちがえていたのは私の方だったのかもしれない。

リクばっかり責めてたけど、リクはちゃんと自分で自分の道を歩いてる。

私はいつまでもリクに甘えて、依存して。

一人でも歩けるようにならなくちゃ。

そう思って自分の両手をぎゅっと握り締めた。

でも、こんな切ない気持ちにさせるなんて、

やっぱ、ずるいよ。
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