玉響の花雫 壱
久遠(くおん)
『せっかくだから外に行くぞ。』
先にお風呂にお湯をはり
ダウンを着てから外へ行くと、
手を繋いで見晴らしのいい場所で
星空を眺めた。
‥‥ここに来るために1日お酒を
飲まずにいてくれたんだと思うと、
愛しさが沢山込み上がる‥‥。
『体が冷えたから先に入っておいで。』
産まれて初めてのジャグジーバスを
堪能し、筒井さんが入っている間に
持ってきていたお酒とオツマミを
テーブルに並べた。
冷蔵庫にはお水と、朝ご飯用の食材が
入っていたけど、1日お酒を我慢した
筒井さんに飲んで欲しかったのだ。
『お前も少しだけ飲む?』
「はい‥‥じゃあ少しだけ。」
鞄から持って来ていたチョコレートを
取り出すと筒井さんからグラスを
受け取り、乾杯をしてから白ワインを
飲んだ。
星空が綺麗に見えるようにと
明かりを最低限にしてソファに
座ると、2人で天井を見上げる。
本当になんて綺麗なんだろう‥‥
この建物をこの場所に建てた人も
星が大好きなのかな‥‥‥‥。
『霞‥‥真面目な話をしてもいいか?』
ドクン
暗い明かりが筒井さんを背後から
照らし、表情は読み取りにくいけど、
頷き筒井さんの手に触れて手を繋いだ
どんな話か分からないけど、
今分かるのは、話す筒井さんの方が
緊張してるということだけは分かる。
『大学の頃‥‥将来を考えれるくらい
大切な人がいたんだ‥‥。』
えっ?
『同期でさ、いつも明るくて周りまで
華やかにする人で、ずっとこれからも
一緒だと信じて過ごしてたんだよ。』
筒井さん‥‥‥
ソファにもたれた筒井さんが瞳を閉じ、
私の手をさっきよりも強く握るのを感じ、私も握り返した。
『3年付き合って、あと1年で卒業
っていう時に、彼女は突然俺に
何も言わずに大学を辞めた。
当時住んでいたアパートも契約が
とっくに切れていて訪ねても
誰も住んでいなかった‥‥』
えっ!?そんな‥‥‥
『フッ‥‥ずいぶんツテを当たったり
友人に聞いて探したけど、誰1人
行方を知らなくてさ。少ししてから
違う人と一緒に住んでるって噂を
耳にして初めてそこで捨てられてた
んだって実感したんだ。』
筒井さん‥‥
『未練がましく見に行ったら、
知らない男と手を繋いで歩いてて、
幸せそうに笑ってた。
そのあとからだな、荒れたのは‥。』
亮さんが言ってたのはきっとこのこと
だったんだ‥‥‥。それがまさか
心から愛していた人が突然去ったこと
だったなんて‥‥‥。
『必死で貯めて来たお金も必要なくなり
寂しさを埋めるためにも遊んだ‥‥。
それでもやっぱり忘れられない
ものなんだよ‥‥簡単にはさ‥‥。
で、そんな時出会ったのがマスター
だったんだ。』
えっ!?
マスターって‥喫茶店の?
そんなに前からマスターと筒井さんが
知り合いだったなんて‥‥‥
先にお風呂にお湯をはり
ダウンを着てから外へ行くと、
手を繋いで見晴らしのいい場所で
星空を眺めた。
‥‥ここに来るために1日お酒を
飲まずにいてくれたんだと思うと、
愛しさが沢山込み上がる‥‥。
『体が冷えたから先に入っておいで。』
産まれて初めてのジャグジーバスを
堪能し、筒井さんが入っている間に
持ってきていたお酒とオツマミを
テーブルに並べた。
冷蔵庫にはお水と、朝ご飯用の食材が
入っていたけど、1日お酒を我慢した
筒井さんに飲んで欲しかったのだ。
『お前も少しだけ飲む?』
「はい‥‥じゃあ少しだけ。」
鞄から持って来ていたチョコレートを
取り出すと筒井さんからグラスを
受け取り、乾杯をしてから白ワインを
飲んだ。
星空が綺麗に見えるようにと
明かりを最低限にしてソファに
座ると、2人で天井を見上げる。
本当になんて綺麗なんだろう‥‥
この建物をこの場所に建てた人も
星が大好きなのかな‥‥‥‥。
『霞‥‥真面目な話をしてもいいか?』
ドクン
暗い明かりが筒井さんを背後から
照らし、表情は読み取りにくいけど、
頷き筒井さんの手に触れて手を繋いだ
どんな話か分からないけど、
今分かるのは、話す筒井さんの方が
緊張してるということだけは分かる。
『大学の頃‥‥将来を考えれるくらい
大切な人がいたんだ‥‥。』
えっ?
『同期でさ、いつも明るくて周りまで
華やかにする人で、ずっとこれからも
一緒だと信じて過ごしてたんだよ。』
筒井さん‥‥‥
ソファにもたれた筒井さんが瞳を閉じ、
私の手をさっきよりも強く握るのを感じ、私も握り返した。
『3年付き合って、あと1年で卒業
っていう時に、彼女は突然俺に
何も言わずに大学を辞めた。
当時住んでいたアパートも契約が
とっくに切れていて訪ねても
誰も住んでいなかった‥‥』
えっ!?そんな‥‥‥
『フッ‥‥ずいぶんツテを当たったり
友人に聞いて探したけど、誰1人
行方を知らなくてさ。少ししてから
違う人と一緒に住んでるって噂を
耳にして初めてそこで捨てられてた
んだって実感したんだ。』
筒井さん‥‥
『未練がましく見に行ったら、
知らない男と手を繋いで歩いてて、
幸せそうに笑ってた。
そのあとからだな、荒れたのは‥。』
亮さんが言ってたのはきっとこのこと
だったんだ‥‥‥。それがまさか
心から愛していた人が突然去ったこと
だったなんて‥‥‥。
『必死で貯めて来たお金も必要なくなり
寂しさを埋めるためにも遊んだ‥‥。
それでもやっぱり忘れられない
ものなんだよ‥‥簡単にはさ‥‥。
で、そんな時出会ったのがマスター
だったんだ。』
えっ!?
マスターって‥喫茶店の?
そんなに前からマスターと筒井さんが
知り合いだったなんて‥‥‥