玉響の花雫    壱
何系‥‥?
筒井さんはお腹空いてるって言ってたからガッツリ系の方がいいのかな?


私も朝とお昼兼用で軽くしか
食べてないからなんでも食べれると言えば食べられるけど‥‥


蓮見さんの別荘に行った時も、
3人ともすごい量を食べてたから、
どんなものがいいかすごく悩む


『お前にこのまま決めさせると
 夜になりそうだな。俺が決めて
 良ければそこに行く?』


「はい。お任せしていいですか?」


私に優しい笑顔を向けてくれると、
車がゆっくり動き出した


『今日もまた料理をしてたのか?』
 

「はい。明日からのお弁当の
 常備菜を作っておくと朝が
 ラクなので。」


受付は上の社食に行くことは
出来ないから、私も佐藤さんも
お弁当や買って来たものを
休憩スペースで食べている


「筒井さんはいつも社食ですか?」


『食べたり食べなかったりで
 時間が空いたら行ってたから
 食堂で会ったことはなかったな。』


そうだったんだ‥‥。
役職がついてるから、
本当に忙しそうにいつもされてるし、
体壊さないといいんだけど‥‥


30分ほど車を走らせると、
建物の地下駐車場に入って行き
車を停めると筒井さんがまた
ドア開けて降ろしてくれた。


「ここのビルですか?」


『ああ、俺の家。』


えっ!?


バタンとドアを閉める筒井さんを
見上げると、何も言わずに手を取られ
地下のエレベーターホールへと
連れてかれてしまう


「筒井さん!ご、ご飯は?」

『心配しなくてもいい。』


ご飯に誘われたから来たけれど、
まさか筒井さんの家に来るなんて、
急過ぎてものすごく緊張してきた‥‥


ポーンとエレベーターが鳴ると
今更ながら16階!!?と驚き
目が点になる。


どうしよう‥‥‥。
まだ、私心の準備が‥‥


「あ、あの、筒井さんやっぱり私」


ガチャ


『おっ、タイミングバッチリだな。
 おかえり、井崎さん。』


えっ?


筒井さんの向こう側から顔を出した
亮さんに、さっきまでの頭の中の
考えが飛んでいくと筒井さんに
鼻を摘まれた。


『フッ‥‥。お前何考えてたんだ?
 もしかしてこの間の続きとか?』


この間の‥‥‥続き?


「ツッ!ち、違いますよ!!
 考えてなんか‥‥」

『茹蛸。そんな顔じゃ亮にも
 揶揄われるぞ?ほら入って。』


筒井さんが変なことを言うから
こんなことになったのに、
亮さんがいるなら最初から
教えて欲しかった‥‥。
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