交際0日婚でクールな外交官の独占欲が露わになって――激愛にはもう抗えない
「咲多は在席しております。少々お待ちください」

 駅長の口からそう聞こえて、足が止まった。

「持月様からお電話だ。出れる?」

 持月くんだ!

 あの後、名刺に書かれていた電話番号に連絡したが、不在で通じなかったため、お礼がしたいこと、後ほど改めて電話する旨を留守電に残していた。
 けれど、こうして電話をしてきてくれるなんて。

「はい!」

 私は慌てて駅長から受話器を受け取った。

「お電話代わりました、大川電鉄朝明台駅主任駅員の咲多です」
「なっが」

 電話の向こうで被せ気味に言われ、「失礼しました」と頭を下げる。

「いや、悪い。久しぶりだな、咲多」
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