交際0日婚でクールな外交官の独占欲が露わになって――激愛にはもう抗えない
「うん、昼間は本当にありがとう。駅員としても、個人的にもお礼をさせて!」

 前のめりに伝えると、「ああ」と短く返された。

 そうだ、持月くんってクールな人だった! 恥ずかしい!

 謎の羞恥に襲われ、顔が熱い。うつむき頬に手を当てながら、続きの言葉を紡ぎ出す。

「あのね、大川電鉄から持月くんに感謝状を贈りたくて。都合のいい日を教えてもらえると――」
「だったら、持ってきてもらえるか?」
「え、持ってきてって……」
「すまない、今研修で日本に戻ってきているんだが、やることが多くてな。そちらに合わせる時間が取れない可能性が高い」

 なるほど、持月くんは忙しい人らしい。名刺の肩書も、なんだかすごかったな。
 そんなことを思っていると、持月くんは続けた。
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