交際0日婚でクールな外交官の独占欲が露わになって――激愛にはもう抗えない
 うつむき、下唇を噛みしめる。
 そんな私の目に入ったのは、ネックレスのジェムストーンだった。

 祐駕くんにもらったこれを着けてきたのは、私の気持ちだ。

 祐駕くんと旭飛、ひとつ違うこと。
 それは、祐駕くんのことが、それでも好きだということ。 

 突然の結婚の提案に、とんでもない人だと思った。
 けれど、彼の誠実さを垣間見て、優しさを隔てなく与えられる人だと知って、彼の夢を知って、私は祐駕くんがどんどん好きになっていった。

 だから。

「旭飛、ごめん。私――」

 言いかけた時、腕を引っ張られた。よろけた私の腰を、太い腕がしっかりと抱きとめる。

「志前旭飛。既婚者を口説くお前の神経、全く理解ができない」

 怖い顔で旭飛を睨みつける、祐駕くんがいた。
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