交際0日婚でクールな外交官の独占欲が露わになって――激愛にはもう抗えない
「映茉、大丈夫か?」

 私の腰を抱いたまま、祐駕くんに優しい笑みを向けられた。旭飛に向けたのとはまるで違うそれに、私の胸はトクリと高鳴る。

 やっぱり、好きだなぁ。

 私を苦しめる相手を好きになってしまうなんて、私は馬鹿なのかもしれない。それでも、好きなのだから仕方ない。

「どの口がそれを言うんだよ!」

 旭飛は、ひどく怒っていた。聞いたことのないくらいの怖い声で、祐駕くんに噛みつく。

「愛がないのに結婚したんだってな。都合のいいように人を振り回して、自分の思い通りになれば満足か? 相手が生身の人間だって分かってんのか? 映茉がどんだけ傷ついてんのか分かってんのか!?」

 旭飛の視線は、見たことないくらいに鋭い。
 けれど。

「愛がない、だと?」

 祐駕くんは突然顔をしかめ、私の腰を抱く腕を緩める。
 けれど、次の瞬間には、彼の瞳はまっすぐに旭飛を捉えていた。

「何をどう勘違いをしているのか分からない。だが俺は、映茉を愛している」
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