《番外編》愛し愛され愛を知る。
「おい真彩、ここに子供服は売ってる。見ないのか?」
「いえ、ここのブランドの服はその、値段が結構しますから、別のお店に行こうかと」

 通りがかった子供服店を素通りしようとする真彩を不審に思った俺が問い掛けると、この店は結構値段がするようで別の店に向かおうとする。

(遠慮しなくていいのにな、服くらい……)

 俺としては値段云々よりも欲しい物を買ってもらいたいのだが、真彩はどうも遠慮しているようだ。

「さっきも言ったが、値段は気にしなくていい。別に高価な物を身に付けろと強制はしないが、一着や二着くらい多少値の張る物を身に付けてもバチは当たらねぇんだ。見るだけはタダなんだから覗くだけ覗いて、悠真に似合う服があれば買ってやれ」

 どうすれば真彩が遠慮をせずに好きな物を選べるのか、言葉を選びながら口にしていく。

「……ありがとうございます。それじゃあ、少しだけ覗いてみますね。実を言うとここの洋服って良いデザインの物が多くて、悠真にも着せてみたいなって思ってたんです」

 そんな俺の意向を汲んだらしい真彩は考えを変えたらしく、その店も見てみる事になった。

 それから何軒かショップを回って子供服や日用品など、生活に必要そうな物を買い込み、そろそろ朔たちと落ち合う時間になる事に気付く真彩。

「沢山買って下さってありがとうございます。そろそろ時間ですし、戻りましょうか」
「確かに沢山買い込んではいるが、真彩、お前自分の物は全然買ってないじゃねぇか」
「そんな事ないですよ? 必要な物は全て買いましたから」

 見て回っていた時間の殆どは悠真の為の物で、真彩の物と言えば下着や最低限生活に必要な物しかない。

「私の服は持っている物を気回せば十分ですから。みんなもう駐車場に戻ってるかな? 悠真が迷惑を掛けているといけないので戻りましょう」

 何度か買うように言ったものの真彩は持っている物だけで事足りると言って全く興味を示さず、結局そのまま駐車場へ戻る事になった。
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