《番外編》愛し愛され愛を知る。
「兄貴、着きました」
「真彩、降りるぞ」
「え?」

 ショッピングモールを出て約二十分、繁華街近くに辿り着くと人気の少ない裏道に車を停めた翔。真彩に一緒に降りるよう声を掛けた。

 当の本人は屋敷に戻ると思っていたのだろう。状況が掴めないようで降りるのを躊躇っていた。

「朔、悪いが先に戻って悠真を頼む。翔は電話をしたら迎えに来てくれ」

 そんな真彩をよそに、俺は翔と朔に指示を出した後で悠真に声を掛けた。

「悠真、お前はこのまま朔と家に戻って買った玩具で遊んでてくれるか?」
「ママは?」
「ママは少し寄るところがある。分かってくれるな?」

 真彩とまた別れる事になると知った悠真は少し悲しげな表情を浮かべるも泣きはせず、

「わかった。さくとおもちゃであそぶ」

 くまのぬいぐるみを強く抱きしめながら『分かった』と納得して頷いた。

「良い子だ」

 そんな悠真の頭を優しく撫でてやると、悠真は笑顔になる。

「それじゃあ朔、悠真を頼むぞ」
「了解ッス!」
「真彩、行くぞ」
「は、はい! 朔太郎くん、悠真をよろしくね」
「悠真の事は気にせず、姉さんは楽しんでください!」
「ママ、ゆうまいいこにする!」
「うん、ありがとう。行ってくるね」

 皆に見送られながら俺たちは繁華街へと向かって行く。

「あの、理仁さん……一体何処へ……」
「付いてくれば分かる。もうすぐだ」

 真彩が行き先を問い掛けて来るもそれに答えることはせず、付いてくれば分かるとだけ伝えて歩き続けて辿り着いたのは、

「ここだ」
「ここって……」

 【KIRYU】グループの一つで腕の良い美容師が揃っていて常に予約でいっぱいと話題の美容室前。

「今日は貸し切りにした。これから服やアクセサリーなんかも此処へ届けてもらうよう手配してある」
「え?」

 全く状況が見えない真彩は戸惑い気味だが俺は構わず店内へ足を踏み入れる。
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