《番外編》愛し愛され愛を知る。
「理仁さん! あの、どうでしょうか?」
「似合ってる」
「本当ですか?」
「ああ。俺は嘘はつかねぇ。そもそもお前は元が良いんだから、普段からもっとお洒落に気を使えばいい」

 これは嘘偽りの無い本音だった。
 正直ここまでとは思わなかったが、俺としては芸能人なんかよりも余程真彩の方が魅力的だと感じていた。

「そんな事、ないです。それに、普段はやっぱり動きやすい方がいいので」
「まぁ、家事をするには動きやすい方が良いだろうが、出掛ける時はこうしてお洒落をすればいい」
「でも、悠真が居ますから」
「お前は今は一人じゃねぇ。普段は朔や翔、他の奴らも近くに居る。悠真の事はいくらでも見る奴がいるんだから、お前はもっと自分の事を優先していいんだ」
「……ありがとうございます」
「さて、せっかくお洒落してんだ。このまま帰るなんて勿体ねぇ。このままもう少し出かけるぞ」

 言って俺は真彩の手を取って歩き出し、スタッフたちに見送られながら店を後にした。

「あの、理仁さん……一体何処へ……」
「レストランを予約したからそこで食事をする」
「えぇ!? いや、こんなにしてもらった挙句にレストランだなんて!」
「俺がしたくてしてる。遠慮はいらねぇ」
「でも……もう夜だし、流石に悠真もぐずっているかもしれないし……」
「悠真は大丈夫だ。さっき翔に様子を確認したが、朔や他の奴らが一緒になって買った玩具で遊んでいるらしい。飯も食わせたから安心していいと言ってたから心配はいらない」
「そう、ですか……」

 やはり一番悠真の事が気がかりだったらしい真彩は様子を聞けて安堵の表情を見せる。

「だから、真彩も今は思い切り楽しめばいい。それとも、俺が相手じゃ不満か?」

 折角お洒落をしたんだから、今は悠真の事も忘れて楽しんでもらいたい。

「いえ、そんな事はありません! こんな……こんなに良くしてもらえて、気に掛けてもらえて、本当に感謝しています」
「そうか。俺はお前が喜んでくれたならそれでいい。ほら、行くぞ」
「……はい」

 そんな俺の思いが伝わったようで、真彩は笑顔を見せてくれた。

 俺はきっと、この笑顔が見たかった。

 遠慮せずに、心から喜んでくれる彼女の笑顔が。


 まだまだお互い知らない事だらけだけど、少しずつ知っていきたい。

 異性にそんな感情を初めて抱いた瞬間だった。



―END―
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