【書籍化】偽装告白から始まる悪徳外交官の溺愛
 朱鳥はペン型カメラをバッグにしまい、仕事を再開した。
 航平は席に戻ったが、彼の目が気になって仕方がなかった。
 だから、いつもはペンとして使っているペン型カメラは、バッグに入れっぱなしにしておいた。



 衝撃を受けたのは翌日だった。
 出社したら珍しく早く出勤した編集長の勝則がご機嫌で、航平の周りに人が集まっていた。

「おはようございます。なにかあったんですか?」
 近くにいた凛子に声をかける。
「おはよ。川俣さんがいいネタ仕入れたんですって。もうサイトにアップされてて、閲覧数が急上してるみたい」
 凛子があいそよく教えてくれた。
 恋人が実績を上げたなら彼女もご機嫌だろう。

「教えてくれてありがと」
 憂鬱に席につき、パソコンを立ち上げる。
 自社サイトを見に行き、驚愕した。
『変態外交官、日本でも誘拐か!?』

 タイトルの下に、恭匡が迷子に声をかける動画があった。泣き喚く少女をむりやり抱き上げる様子が流れ、そこで切れた。
 最後に『不審に思った記者が声をかけ、少女は解放された』と説明が入っていた。
 航平の名がクレジットされていて、朱鳥の名前はなかった。

 コメント欄は恭匡への罵詈雑言があふれ、とても見ていられない。
 朱鳥はカッとなって席を立ち、航平につかつかと近寄る。
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