闇夜の星
第3章

1

「これがあの家に行くまでの過去」


思い出しただけで手が震える。そんな手を一星は優しく包み込んでくれた。


「頑張ったね

葉月ちゃんは偉いよ」

温かい言葉をあたしは否定した。


「あの時、一緒に助けに行けばよかった
あの日、卒業式に来てもらって3人で帰ればよかった
もっと早くお義父さんって呼べばよかった

家族に、なりたかった…」



もう二度と叶うことのない夢。
思春期なんて理由で先延ばしにしていいものではなかった。そうしたことで一生かなわなくなってしまったんだから。


「そんなことないよ
きっと伝わってた

本当に嫌われてるって思ってたらお義父さんは卒業式に来なかったんじゃないかな
お母さんは葉月ちゃんに絶対に生きてて欲しかったし、3人で笑い合いたいって思ったからお義父さんの元へ行った気がする」



「そう、なのかな」


ふと温かい雫が頬を伝った。この涙はなんて言う名前だろう。よろこび、かなしみ、こうかい、そしてあいじょうがまざった複雑で、ややこしくて、心温まるそんな涙だった。




そんなあたしを一星は抱きしめてくれた。この温もりがこんなに嬉しいなんて残酷な場所でさらに酷い目に合わされるきっかけを作ったのは一星だった。だから世界で1番嫌いだった。苦しい過去の全てを思い出す人だったから。



「ごめん…」
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