『愛のため、さよならと言おう』- KAKKO(喝火) -
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 その週末、いつもよく行く元町にある古書店へぶらりと立ち寄ってみた。


 好きな本に囲まれていると気晴らしになる。


 小一時間ほど店内で過ごし店を出た。
 もう夕暮れ時になっていた。

 夕暮れ時って魔法が掛かるのよね。
 淋しい病に掛けられるのだ。


 さてと、家に帰ったらケーキでも焼こうかと少し自分を元気づけて
歩き出す。

          ◇ ◇ ◇ ◇


『伊達っ!』
誰かに呼び止められる。


 百合子は周囲をキョロキョロする。

 呼んだのが少し先の左前方にいる人物だと分かった。

 その人物とは学生時代グループでよく遊び仲良くしていた
同級生の早瀬誠だった。


「よっ、久しぶり。秋野垢抜けて綺麗なお姉さんになってんじゃん。
 今一人? 俺、一人でブラブラしてるところなんだ。お茶でもどう?」



「ひゃあ~、懐かしいよね。行く行く……」



 結局お茶の後、まだまだ話し足りない雰囲気になり、私と早瀬くんは
彼が何度か行ったことのあるというバーへ行くことに。


 そこでも話が弾み楽しいお酒になった。


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