口に甘いは腹に毒


「きょ、今日どうしても玉露くんと会って話したいんですっ……! いつ帰ってくるかもわかりませんか?」



 ここで引き下がったら、もう二度と上手くいかない気さえする。

 那由多先輩も導いてくれた。一度踏み出した道を戻ることはしたくない。



『……そんなに玉露に会いたいの?』



 戸惑った声色。



『だって苹果ちゃんは……玉露に食べられてしまったんでしょう?』

「いいんです、玉露くんになら。いくら食べられてもいいから、一緒にいたいんですっ……」



 心からの訴えを伝えた。


 わたしが一番玉露くんのことを知っていたい。他の人よりわたしと仲良くしていてほしい。

 この気持ちが、独占欲以外のなんだっていうんだ。




『…………少し待ってて』




 そう言い、通話が途切れた。

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